束縛の朝


早朝、名前の家のインターホンが鳴った。まだ、親も眠っている時間。
名前は恐る恐るドアにチェーンをかけ、控えぎみに扉を開く。
そこにはミロが立っていた。
ミロは名前を見るなり、食いつくように扉にすり寄る。

「早く会いたかった…」

ミロの目は明らかに血走っている。
名前はチェーンを外すか否か、暫し迷ったのち、チェーンを外しミロを迎え入れる。

ミロは解放された扉を思いきり開き、名前を抱き締め玄関の外に出る。
そのまま壁際に追い詰め、性急に名前の口内を弄ぶ。
息も絶え絶えになり、互いに溶けて混ざり会うような快楽に堕ちる。
ミロはこれまで長期任務で海外を飛び回っていたせいか。

性急なミロを抑制することすら忘れた名前は、ふと悪寒を覚える。
気がついたらその場で上半身を脱がされかけている。
名前は戸惑いがちにミロに制するが、全く聞く耳をもたず、あっという間に上半身が露になる。
玄関先、それも親がまだ寝室で眠っている。

「お前の親に、可愛い声を聞かせてやれよ…」

ミロは貪欲に名前を求める手を止めない所か、加速していく。
名前は混乱する頭でミロを押し返そうとするも、全く微動だにしない。
名前は疑問を投げ掛ける。
何故こんな事をするのかと。
ミロは色気の混じった吐息を名前の耳に漏らしながら「お前の居ない毎日が苦痛で、とにかくキツかった。今すぐお前ごと押し潰すくらい愛してる」と囁く。
ミロは続ける。

「俺が居ない間、他の男に触れられていたらと思うと、殺して天蠍宮に安置したいぐらいだった」

名前は不思議とそれが心地よかった。
愛されているのだという実感が沸き上がり、ミロを力一杯抱き締める。
ミロはそこで始めて狼狽える。
虚を突かれたと形容するべきか。

「受け入れてくれるのか?」

名前ははにかみながら頷く。

「酷いことをするかもしれない、現に今」

ミロの言葉は名前の唇で塞がれる。溶け合う時間が、優しい風と共に流れていく。